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 お菓子作りが初めての方向けのプチ・コラムです。
 お楽しみいただけましたら幸いです。
 

ゼリーについて 




透明感があって、ふるふるとした食感のゼリー。
暑い時期にぴったりの、手軽に出来るおやつです。

「ゼリー」というと、「ゼラチン」を使ったものが知られていますが
その他にも 固める材料=凝固剤(ぎょうこざい)によって、
いろいろなタイプのゼリーができます。

今回は、凝固剤の種類とゼリーについて まとめてみました。

  
 


          <目次> 

 1. いろいろな凝固剤を使ったゼリー

 2 ゼラチンのゼリーを作るときのコツ

 3. まとめ     



1.いろいろな凝固剤を使ったゼリー

 まず、凝固剤にはどのようなものがあるか見てみましょう。

*主な凝固剤の種類*

   1.ゼラチン    
   2.寒天    
   3.カラギーナン   
   4.ペクチン  

 では、順にご説明していきます。



   1.ゼラチン
   原材料は牛、豚の骨や皮に含まれるコラーゲンです。
   (動物性タンパク質の一種)
   透明度が高く、ぷるんとした食感でどけが口どけ良いのが
   特徴です。ゼリーの他、ムースやマシュマロに使われます。
   ゼラチン溶液は、冷蔵庫で冷やして固めますが
   出来上がったゼリーは常温で(25℃以上)溶けます。
   冷凍には不向きですが、乳製品を使用したもの(ムース
   ババロア、レアチーズなど)は冷凍できます。
  

        




   2.寒天
   原材料は海藻(天草・オゴノリ)です。
   歯切れの良い食感で、凝固力が強いのが特徴です。
   羊羹、牛乳寒天などの和菓子に多く使われます。
   寒天ゼリーを作るときには、よく混ぜながら加熱し
   ざらつきのないようにしっかり煮溶かすことがポイントです。
   常温(25℃)で固まり、固まった寒天ゼリーは常温では
   溶けません。
   棒状、粉末、フレーク状などのタイプがあります。   
   





   3.カラギーナン
   原料は海藻(ツノマタ、スギノリ)です。
   透明度が高く、寒天よりも弾力があります。きれいな色と
   風味を生かしたゼリーを作ることができます。
   一般にゼリーの凝固剤として、使われている「アガー」は
   カラギーナンに、より弾力をもたせるように
   ローカストビーンガム、グルコマンナンなどのガム類を
   加えたものです。
   常温で固まり、固まったゼリーは常温では溶けません。
   冷凍できることも大きな特徴です。




   4.ペクチン
   原材料は、りんごなどの果物や、レモン、オレンジなどの
   柑橘類です。
   ジャムがとろっとしているのはこのペクチンによるものです。
   食感は弾力があり、なめらかで、冷凍出来るのが特徴です。
   粉末のペクチンは、2種あり用途が違います。

   ・HMペクチン・・・水分・酸・砂糖を加えて加熱処理すると
              固まる。
              → ジャム、ペクチンゼリーなど。

   ・LMペクチン・・・カルシウムやマグネシウムなどのミネラル
              があれば、砂糖がなくても固まる。
              →牛乳を加えて固めるデザートなど。
              熱可逆性があり、いったん撹拌しても
              また元の様に固まる。
              →お菓子の艶出しに使うナパージュなど。


これらの性質を表にしました。

  *主な凝固剤の性質類*
 凝固剤の種類 原材料 常温  冷凍  用途 食感★
   ゼラチン 牛・豚の皮や骨 ×
(溶ける)
×
(できない)
 ゼリー
 ムース
 ヴァバロワ
 マシュマロ
 「ふるふる」
 「ぷるっ」
  寒天 海藻
(天草・
オゴノリ)
 ○
(溶けない)
×
羊羹
 寒天ゼリー 
 「さくっ」
  カラギーナン 海藻
(ツノマタ・
スギノリ)


(できる)
 アガーゼリー
 増粘剤
 「ぷるん」
  ペクチン  柑橘類果皮
(オレンジ・
レモンなど)


  ジャム
 ペクチンゼリー
 デザート菓子
ナパージュ
 「とろん」
★食感を表す言葉は、あくまで個人的なものです。ご参考までに。
凝固剤の種類によって、いろいろなゼリーやお菓子が作れることが分かりますね。

       
2.ゼラチンゼリーを作るときのコツ

次に、よく使われる「ゼラチン」にスポットをあててみましょう。

  ゼラチンは、板ゼラチンと粉ゼラチンがあります。扱い方は
  それぞれ違いますが、同じ成分です。
  ゼリーの固まり具合や性質は、メーカーによって少しずつ違う
  こともあります。
  <板ゼラチン>
  1枚の重さが一定なので計量する手間がかからない、
  冷水で早く戻るという利点があります。
  戻すときは、必ず冷水でたっぷりの水で十分にやわらかくする
  こと。
  →水がぬるいとゼラチンが溶け出してしまいます。
  →水が少ないと板ゼラチン同士でくっついてしまい、吸水しにく
  くなり戻すのにも溶かすのにも時間がかかってしまいます。

   <粉ゼラチン>
   重量の4~5倍の水でふやかし、湯せんで溶かして使用します。
   戻す水の分量を量るので、お菓子の固まり方は安定しています。
   溶け残しのないように、よく混ぜて使用します。

   では、どちらのゼラチンにも共通して気をつけたいポイントを
   いくつかあげてみます。

   1.高温・酸に気を付ける。  
   ゼラチンは高温で煮沸させると固まりにくくなります。
   湯せん温度は50~60℃、ゼラチンを加えるベースの液体も
   60~70℃になるように調節しましょう。
   ゼラチンは酸味の強いフルーツなどでも固まりにくくなります。
   酸味を加える場合は、ゼラチンに直接加えずに
   ゼラチン+ベース液体にしてから加えましょう。

    2.タンパク質分解酵素
   キウイ、パイナップル、パパイヤ、マンゴなどには、タンパク質
   分解酵素が含まれていて、ゼリーが固まりにくくなります。
   これらのフルーツを使う場合は、缶詰か75℃で加熱処理
   (酵素の働きが失われる)をしてからにしましょう。

   3.砂糖の分量
   ゼリーの固まり方は、加える砂糖の量によって違います。
   砂糖の配合量が多いと、ゼリーのかたさと弾力は増します。
   砂糖の配合量を減らすと、固まり方がゆるくなり、水がでて
   きやすくなります。(離水)
   砂糖は、ゼリーの固まり方(食感)に影響を与えますので
   甘味を調節するときは、注意が必要です。

   4.使用量・時間・温度
   「作ったゼリーを次の日に食べるとかたかった!!
   やわらかくてふるふるだったのに!」
   ということがあります。  
   これは、ゼラチンの使用量・時間に関係があります。

   ゼリーは、ゼラチンを使用する量が
        少ないとゆるく
        多いとかたくなります。

   ゼリーは、固める時間が
        短いとゆるく
        長いとかたくなります。

   また、ゼリー液は同じ濃度でも温度によって
   固まり方が違ってきます。(時間、食感)

   ゼリーは、固める温度が  
        低ければ、かたく
        高ければ、ゆるく固まります。
    





































 これらを表にすると次のようになります。                  

*ゼラチンの使用条件とかたさの関係*               
使用量 時間 温度
多い かたい  長い かたい  高い やわらかい
少ない  やわらかい  短い  やわらかい  低い かたい 

この表は、あくまで一般的な目安です。                     
    ゼリー強度(固まり方の強さ)は、最初にご説明したように、             
ゼラチンの種類、メーカーによっても違います。                  
「作った次の日に、やわらかいゼリーを食べたい!」場合は           
「作るときに、ゼラチンの量を気持ち少なくすればいいんだな。」        
ぐらいに考えておくとイメージしやすいかもしれません。        


3.まとめ


それでは、最後にまとめです。

  • 凝固剤にはいろいな種類があって、原料によって出来るゼリーも性質が違う。
    (ゼラチン/動物の骨・皮、  寒天/海藻、 カラギーナン/海藻 、 ペクチン/果皮)

  • ゼラチンで作るゼリーは、次のことに気を付ける。
    (溶かす温度、酸味、酵素、砂糖、使用量、時間、固める温度など)

・・・普段何気なく食べているゼリーの主役、

凝固剤は、まだまだ奥が深いです。

また、機会があれば取り上げたいと思います。

ゼリーは、味はもちろんですが、透明感、

そして食感が、とても大事だと思います。

応用しだいで、とても素敵なデザートが

たくさん作れる魅力的な材料です。

さまざまな凝固剤を使って、いろいろなタイプのゼリーを作ってみて下さいね。

参考文献:
「科学でわかるお菓子の「なぜ?」」
中山弘典 木村万紀子 共著/柴田書店

「洋菓子用語辞典」
千石玲子 千石禎子 吉田菊次郎 編/白水社
 

 


















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